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IPOなんて興味ないです

M&A戦略 MAVIS PARTNERS コラム106

よく聞かれる会社のビジョン

以前も書いたが、MAVISに個別営業してくる人がいれば、内容はどうであれ、いったん話は聞いてみるようにしている。DM一斉送信は、さすがにスルーしてしまうが、弊社や私のことをちゃんと事前に調べて、何かしら提案しようとしてくれた人には、YES・NO問わず、フィードバック含め回答してあげることをポリシーとしている。自分がコールドコール然り、営業活動をしていたときに、ひどい対応をされて嫌な気持ちになったことがあったので、自分が営業を受ける立場になったら、そうしてあげようと決めていた。それに、営業活動をされると、「人の振り見て我が振り直せ」になるので、自身にとっての糧にもなる。
さて、本題に戻すと、そういう類の“営業をされる面談”をしていると、結構な確率で、「今後会社をどこまで大きくしていこうと思っているのですか?」とか、「ビジョンについて教えてください」とか、そんなことを聞かれる。決してMAVISにビジョンが無いわけじゃないが、規模拡大には興味関心がないので、あまり期待に沿えるような回答ができない。創業当初から、“予約の取れない一軒家レストラン”風のコンサル会社を志向していたので、MAVISは、会社の大きさではなく、提供できる価値の質に重きを置いている。

IPOの目的って?

つい先日は、上場支援をしている会社から、「IPOに興味ないですか?」という営業を受けた。それに限らず、友人知人からも、「会社を創ったなら、IPOとか狙っているの?」という質問をされることはある。その営業をしてきた方に対して、私が、「IPOすると何かいいことありますか?」と聞き返すと、意外そうな顔で、オーナー経営者の資金形成やら、会社の認知度向上やら、教科書的な答えが返ってきた。確かに、自分の質問に対して、そういう回答が来るよなと思いつつ、そんなことを知らないわけじゃない。そもそもそういうことを欲してないのだ。だから、IPOに興味がない(弊社が出来るとも思っていないが…)。
個人財産を築くことに関心もないし(死ぬときに残るのは思い出だけ、という価値観)、今の待遇で何も困っていない。それに、稼ぎたいときに稼げるような仕事をしているので、必要なら頑張ってその分働くだけだ。それに、会社の認知度は自然に上がっていくのは望ましいと思っているが、頑張って上げる気もない。だって、今だって仕事の依頼はあるし、採用の応募者数だってそれなりにあるから、これ以上望むのもオコガマシイと思うのだ。
以前、会社の上司に、「欲がないと上にいけない。欲がなければ、欲を持つことも努力だ」というフィードバックを受けた。なるほど、と今でも思うが、私のような人間が大企業にいればそういう努力も必要なのだろうが、今になっては欲を持つ必要もない。

利害関係者は増やしたくない

逆に、上場なんてした暁には、気を配る先が増えて困るのではないか。考え方は人それぞれなので、正否を問う気はないが、クライアントに滅私奉公の気概を持つべき(だと思う)コンサル業において、クライアント以外の利害関係者を増やすことは、そもそもアリなのか。クライアントにコミットしておいて、そのクライアントと自社の株主で意向が違う場合、どちらを優先するのか。考えただけでおぞましく面倒くさい。思考コスト・コミュニケーションコストが高過ぎて、本業が疎かになりそうで懸念しかない。なるべく利害関係者は少なく、シンプルに物事を考えたいし、ただただクライアントに喜ばれることで仕事になる環境を維持したい。
そして、そういうコンサル会社に関心を持った人に応募して欲しいし、MAVISでしか出来ないコンサルティングサービスに関心を持った会社にご依頼して欲しい。やはり目指すは、ひっそりと佇む、予約の取れない一軒家風コンサルティング会社なのだ。

MAVIS PARTNERS プリンシパル 田中大貴