連載:ESG

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#2. SDGsとESG~SDGsはESGネタの宝庫~

2021-04-02

SDGsの生い立ち

ESGと絡んで取り上げられることがある用語にSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)がある。SDGsは2015年に国連総会で採択された。SDGsは、1992年の国連地球サミットで採択された「アジェンダ21」、2000年の国連ミレニアムサミットで採択された「MDGs(Millennium Development Goals、ミレニアム開発目標)」の流れを汲むものである。国際社会の目標として、飢餓、貧困、ダイバーシティ、気候変動、海洋保全、森林保全などの17のゴール、169の目標が設定されている。
SDGsの採択に先駆けて、グローバル企業は環境や労働問題等に取り組むことが持続的成長につながることに気づき、既に取り組んでいた。2004年にIBM、ヒューレット・パッカード、Dell等の9社でEICC(Electronic Industry Citizenship Coalition、電子業界行動規範)という団体を発足し、同名の規範を発表、2009年に認定監査プログラムをスタート、米国のアップル、インテル、マイクロソフト、日本のソニー、韓国のサムスン、台湾のフォックスコン等、参加企業を更にグローバルに広げ、電子機器の納入先となる自動車、玩具、飛行機、IoTテクノロジー企業も巻き込み、名称もRBA(Responsible Business Alliance、責任ある企業同盟)と変え、アライアンスを広げている。このプログラムは、労働、安全衛生、環境保全、管理の仕組、倫理の5項目についてサプライヤーとともに遵守する監査基準を設け、少なくとも一次取引先に対して、本規範の認識と実施を要請することとしている。目的はサプライチェーンの安定化で、事業の成長に資するとの考え方に基づくものである。廃棄物問題についても、プラスチック代替物やプラスチック・リサイクル等の開発を新たな事業機会と捉えて、デュポン、ユニリーバ、ネスレ等のグローバル企業が取り組んでいる。

SDGsとESG

エレクトロニクスメーカーやその他グローバルメーカー等の労働や環境等に配慮する動きは社会的責任の義務としてのみの取り組みではない。これら企業は、SDGsに挙げられている項目に対応することに持続的成長につながる事業機会を見出しているのである。2017年の世界国際フォーラム年次総会「ダボス会議」では、SDGsで掲げられている目標を追求すると2030年までに年間12兆ドルの経済成長機会があり、新たに最大3.8億人の雇用が創出されるとのレポートを発表した。SDGsとESGは目標と手段の関係にある。SDGsを目標としてESGに取り組み、これら事業領域でビジネスモデルを構築できれば、持続的な企業の成長につながるのである。

グローバルと日本での意味合いの違い

日本ではどのようにSDGsが広がったのか。SDGsが採択された後の最初のG7サミットが伊勢志摩サミットで、日本政府が既存の施策から「発展途上国での開発援助や社会貢献活動」等の3つのテーマを取り上げたのが始まりである。しかし、日本政府はSDGsをCSRのように社会貢献活動として扱ってしまった。その後、2017年GPIF (Government Pension Investment Fund、年金積立金管理運用独立行政法人)が、SDGsに取り組んでいる企業への投資がESG投資であり、GPIFはそれに取り組んでいく旨を発表した。しかし、経団連は政府のSDGs推進本部での動きを受け、CSR憲章と呼ばれている「企業行動憲章」を改訂し、社会貢献の意味合いの強いものとして取り扱ってしまい、日本の企業はSDGsの項目をCSR項目として捉えてしまった。そのせいか、グローバル企業は、SDGsで掲げている項目をビジネスチャンスのネタとして掘り下げているのに対し、大半の日本企業はそのようには捉えられていない。SDGsはESG取組みのネタの宝庫である。ESGの取組みのためのビジネスのヒントがないか、視点を変えて、SDGsの項目を見直してみてはいかがだろうか。

まとめ

① SDGsの採択に先駆けて、グローバル企業は環境や労働問題等に取り組むことが持続的成長につながることに気づき、既に取り組んでいた。
② SDGsとESGは目標と手段の関係にある。SDGsを目標としてESGに取り組み、これら事業領域でビジネスモデルを構築できれば、持続的な企業の成長につながる。
③ ESGの取組みのためのビジネスのヒントがないか、SDGsの項目を見直してみるべき。

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